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2012/11/13(Tue)

美しい村って、どこかしら? 4 コッツウォルズ

イギリス版「美しい村」の話を続けます。

コッツウォルズの建物はなぜ美しいのか
特に注目すべきは石、コッツウォルド・ストーンです。これはこの地域で産出する
石灰岩(limestone)ですが、なかでも建材として多く使われているのは
魚卵状石灰岩(oolitic limestone)といって、数の子に似た球体で構成されているもの
だそうです。その色調はガイドブックなどでひとしなみに蜂蜜色といわれていますが、
石にふくまれる鉄の酸化物の割合によって実は微妙に色とりどりなのです。
乳白色から銀灰色、それに濃淡明暗のさまざまな黄色系、褐色系、
黄褐色系などがあって、珍しいところでは淡紅色のもの、全体が乳白色で
青あるいは茶色のまだら模様が入ったものもありました。

コッツウォルド・ストーンの建物を眺めていると、見飽きることはありません。
1日の時間、晴雨の天候、そして季節によってその表情は微妙に変化します。
そうした変幻の一瞬を、英文学者の小野二郎はみごとにとらえています。

<その石の色合いはクリームがかったか、あるいは淡い黄金色でよく光を反射した。面を平常に磨き上げるのでなく、むしろテクスチャーは粗いのだが、銀灰色の面の上に金色の生毛(うぶげ)が透けて見えるぐあいなのである。あるいはあたたかいグレイが日の光を肌にいっぱいやわらかく吸い込んで、無数の極少の銀の針を四方八方に吐き出すかのようである。バーフォードというその地方でも一、二を争う美しい町での朝日のなかの実感である>(小野二郎『紅茶を受皿で』中の「コッツウォルド・ストーン」)

tea-2.jpg

小野二郎によると、ベッチュマンという詩人はコッツウォルド・ストーンを
「雨に濡れれば紫に、濃緑の木々や近寄る雨雲を背景に、月に照らされれば黄金色に」
輝くと讃美しているそうです。小野は<彼はこの地方の建物全体がみな「風景といっしょに
成長したかのように見える」と述べていてここが大切だと思う>
とも書いています。
この詩人を残念ながら筆者は知りませんが、人家が風景の中に溶けこんでいるさまを
言いあてた至言ではないでしょうか。

自然素材の魅力は、時を経ていよいよ表情豊かに洗練されていく、
いわゆる経年変化にあります(人間もそのようにありたいと?)。その味わいを
深めるのがキズであり、シミであり、カビであり、コケでしょう。
そもそも並みではない石材、コッツウォルド・ストーンの壁や屋根や塀が
雨・風・雪 にさらされ、そこにキズ、シミ、カビ、コケがついて、ぼかしやら濃淡やら
明暗やらのグラデーションを描き出すのです。経年変化といっても、築50年、
100年くらいの建物は「まだ新しい」部類に分けられるイギリスでの話です。

たとえば前回(こちら)の写真、バイブリーの集合住宅アーリントン・ロウは、
1380年に製織作業所として建てられ、後に織工の住まいになったといわれます。そんな
歴史的建造物ですが、いまも人が住んでいることは、窓にカーテンがかけられ、裏庭に
洗濯物が干してあったりするのでわかります。ただ、保護・管理は
ナショナル・トラストが担っているそうです。1380年なら日本は南北朝時代、
ちなみに金閣寺の完成は1398年です。また「イングランドで一番美しい村」に
選ばれて一躍有名になったカッスル・クームでは、最後に家が建てられたのは
1617年で、それ以後に建てられた家は一軒もないと聞きました。日本史でいえば
江戸も初期(徳川家康の死が1616年)、それから新築ゼロとは、これ信じられますか。
ここいらは石造と木造の違いでしょうし、それ以上にイギリスと日本とで風土や文化の
大いに異なるところです。古い建物ほど価値ありとするお国柄ですから、あちらは。
しかし、この地域を震度4強の地震が襲ったら、多くの建物はひとたまりもないでしょう。

コッツウォルズの民家を前にすると、
“a lady of simple beauty”(飾り気のない美しさの人)と誰かの小説にあった、
さりげない表現がぴたりと当てはまるおもいがします。
民家のつくりは例外なく簡素、質素を旨としているようです。屋根、壁、ドア、窓などが
みんな簡素に徹し、いずれも同色でまとめられています。窓がおおかた小さいのは、
むかしの課税負担がきびしかったのと、ガラスが高価だったことを物語っているそうです。
屋根の勾配は50~60度か、規制されているようにそろって、シルエットがきれいです。

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A street scene in Burford, Oxfordshire, England, UK.
アンティーク店も目立つバーフォードの家並み
Photo by PeterJBellis

むだがない。飾り気がない。ぜいたくなものはない。これ見よがしの作意がない。
手作業で実直にかたちづくられた簡潔美……と見ていくと、
「素朴な器にこそ驚くべき美が宿る」という、「民藝」運動で名高い思想家・柳宗悦の
言葉をおもい起こします。つまり、コッツウォルド・ストーンの魅力を巧みにいかして、
日本の民芸品にも通じる、生活に即した「用の美」をつくりあげています。
ここでまた日本との共通点に話がもどりましたが、どうでしょう、今の日本では、
民芸のような手仕事の美はどれほど生き残っているのかしら?

コッツウォルズは1966年、特別自然美観地域(Area of Outstanding Natural Beauty)
に指定されました。さらに2004年には
コッツウォルズ環境保護局(Cotswolds Conservation Board)も設立され、
専門家集団と数多くの地元ヴォランティアたちが環境保全に取り組んでいます。
どんなに魅力のある美観地域でも人の手が入らなければ荒れ果てていきます。
「手つかずの自然」なんてイギリスにはありません。といって、人の手が入り過ぎれば
美観は損なわれてしまう恐れがあります。この地域でももうすでに観光客向けの化粧を
している町がないではないけれど、コッツウォルズの町よ村よ、
どうぞ飾り気のない美しさを忘れるなかれ。

cots-2.jpg
ロブ・タルボットの写真がすばらしいガイドブック

(美しい村の夢は続きます……


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