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2010/10/15(Fri)

かまぼこ屋さんが考える魚の話2

続いて、「これがあるのはココ(神奈川県水産技術センター相模湾試験場)だけ」
という定置網に関する実験を行う回流水槽の前で、
定置網と小田原の漁業の今について、話をおうかがいしました。

PICT0023.jpg

定置網の2つの機能

定置網は、沖合に仕掛けを常設し、網の中に入った魚 を漁船で回収する漁法です。
小田原では1800年代初頭から行われてきました。

小田原で行われている定置網の全長は、およそ400~500m。
例えば、1866年に創業した米神(こめかみ)の漁場の定置網は、全長432m。
日韓W杯 の決勝が開催された横浜国際総合競技場の長径が250mですから、
その大きさがうかがえます。

定置網に使われる網の目の大きさは60㎝、
また6時間ごとに変わる潮流の向きによって網の形が変形するため、
網に入った魚の何割かは逃げてしまうそう。
だから、定置網は江戸時代からずっと相模湾で使われてきたにもかかわらず、
その地域の資源を取りつくしていません。
このことを石戸谷氏は「天が与えた定置網の機能」と表現していました。

さらに定置網には「資源を大切にすることができる」機能もあるそう。
魚が留まっている箱網と呼ばれる部分だけでも、長さ120m、幅80m。
だからこの中に入った魚は、例えジンベエザメでもみんな生きているのだそうです。


小田原の定置網漁と神奈川県水産技術センター相模湾試験場

定置網は、仕掛け一式で5億円くらい
しかし台風後の早い潮流で網を支えるケーブルが切れてしまうと、
「次の日に行くと全部がその場所にない。5億円の網が一夜にしてなくなっちゃう」ことも。

PICT0029.jpg

壊れた場合でも、復旧費用と操業機会の損失分とで被害額は約3億円になるそうです。

そこで導入されたのが、神奈川県水産技術センター相模湾試験場の回流水槽。
この水槽の実験で、台風 などで急な潮の流れが起きた場合、
表面から水深60mの海底まで同じ速さで海水が動くことを観察。
定置網を支えるケーブルにかかる力を算出し、70tの力に耐えるケーブルを導入しました。
あわせて流されにくい浮子(うき)の実験・開発なども行ってきたそうです。

こうした「実験装置の活躍」もあって、定置網漁の経営が安定化。
漁業従事者の高齢化や急潮で網が壊れるなどの被害によって、
1990年代には経営が疲弊していた小田原の定置網漁が復活
若手従事者が増加し、現在では漁場の平均年齢が20~30代になったそうです。


小田原の漁業と周辺環境

現在の小田原の漁業の課題のひとつが、相模湾に流れ込む河川の問題です。

ダムができたことによって川の水量が減って中洲ができ、
そこに生えた草や木が、台風 などで海に一挙に流れ出してしまう。
ダムに堆積した砂を海辺にもってくると、
河川を流れながら磨かれた砂ではないので、海が濁ります。

砂浜の減少も深刻で、一例をあげれば、
1950年には100mにわたって存在した小八幡(こやわた)の砂浜は、もうありません。
砂浜の喪失に伴って海中環境も変化し、沿岸では定置網が設置できなくなったそう。

さらに河川からの水の流量が少ないと、川の水と海水とがうまく混ざらず、
富栄養化を引き起こすことがあります。
中国 の長江河口域では、すでにそういった現象が発生。

「河口域が豊かであって初めて、大きな魚も寄ってくる。
クロマグロも定置網で取れる」
と、
箱根・丹沢の豊かな森林や相模湾沿岸での河川の水の消費の仕方などにも、
石戸谷氏は注意をうながしていました。

PICT0043.jpg

続く……


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