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    プン!

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2013/04/26(Fri)

尺八の進化と国際化

前回のブログでご紹介したとおり、尺八の起源については諸説あります。

有力な説は、唐初期に呂才(600~665年)という笛師が
洞簫を改良した というもの(音孔が表面に6孔、歌口は管の内側を削った作りで
あったものを、表面に5孔、裏面に1孔とし、歌口を管の外側を切った形に)。
この唐時代の洞簫・1尺8寸管が、中国から、あるいは朝鮮半島を経由して
日本に伝わったのではないか。現在、正倉院や法隆寺に保存され、
古代尺八と呼ばれているものです。

音孔と竹の節の数から見ると、古代尺八は6孔3節ですが
現代の尺八は主として、真竹の根元を使用した5孔7節。
そしてその間には、5孔1節の一節切(ひとよぎり)も登場しています。
日本における尺八史には空白期間 もあり、いつ、どのような理由で
音孔が1つ減ったのか、など、変遷には謎も多いよう。

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Photo by Krista & Robyn

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Photo by pheezy

音階や材質の違いなどを理由に、国内で変化していったのか、
それとも国外から新たな楽器がもたらされたのか。
ひとつ言えることは、必要に応じて楽器はその姿を変えていく、ということです。

現代の尺八は、竹の中間部で切断し、上下がジョイントできるつくり。
製造時に管の内側に残った節を削り取り、漆の地を塗り重ねて内径を調整することで
大きな音、正確な音程を生みだしています。(持ち運びも容易となりました


長い歴史がある、ということは、変化を続けてきた証でもあるのでしょう。
尺八は伝来した初期、雅楽の楽器として用いられますが
その後、田楽や猿楽にも使用されるようになり、民衆に広まっていきます。
江戸時代、普化宗の虚無僧のみが演奏する法器となった時期もありますが、
江戸中期に黒沢琴古により琴古流が、明治時代には中尾都山により都山流が成立。

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Photo by eiko_eiko

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虚無僧が描かれている浮世絵。
葛飾北斎「富嶽三十六景・東海道程ケ谷」

しかし「明治の文明開化でヨーロッパ文化に、太平洋戦争の敗戦で米国文化に、
日本の音楽は痛めつけられた」などと言われるように
尺八もまた、多くの日本人にとってなじみの薄いものになっていきます。

雑誌「邦楽 糸竹の栞」第2号(1916年発行)に掲載された
「尺八に就て」という記事のなかで、荒木古童はこう述べています。
「旧套にのみ拘泥せず時世に伴して段々改良を加えて
尤もよく人情に合しなければならぬ」


さて、1967年のこと、
武満徹が琵琶・尺八とオーケストラ のために作曲した「ノヴェンバー・ステップス」の
ニューヨーク・フィルハーモニックによる初演が行われます。
またこの年、尺八奏者・山本邦山がニューポート・ジャズ・フェスティバル に参加。
その3年後には、尺八ジャズの名盤として知られる「銀界」を発表しています。

国際的に認知されるということが何を意味するのか。
家元や流派によって守られてきた世界に、さらなる変化の時が訪れます。


日本で尺八を吹く人口は現在約3万人程度と、減少 傾向にありますが、
海外、特に中国では増加 しているそうで、その多くが洞簫の経験者と思われます。
改良を重ねた尺八が、魅力ある笛として選ばれている、ということかもしれません。

1994年から開かれている国際尺八フェスティバルの開催地も、
2016年にはチェコのプラハ、その次は中国の蘇州が予定されています。
民族楽器は今や、世界中の人々が楽しめる時代。
だからこそ私たちは、和楽器をもっと知る必要があると思うのです



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2013/04/22(Mon)

尺八と世界の縦笛

先日、“itn Open!”編集部からも近い、六本木のブルーシアターにて
AUN Jクラシック・オーケストラのLIVEが行われました。
こちらのブログでご紹介したこともある、和楽器奏者のグループです。

和太鼓、笛、三味線、尺八、鳴り物、箏……
和楽器は2002年度から中学校の音楽科で必修となりましたが、
小型化して扱いやすい楽器が開発された、等の理由で箏を教材に選ぶ学校が多いとか。
しかし、2002年より前に中学を卒業してしまったスタッフ
自ら奏でてみたいと思う楽器は、何と言っても尺八です。

あの音色!
竹でできており、音孔(指穴)が5つ(前面に4つ、背面に1つ)という
シンプルな構造にもかかわらず、あの多彩な音色は何でしょう。

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Photo by Joi

作家の永井荷風は17歳のころ、上野の音楽会で
荒木古童の「残月」を聴き、その音に魅せられたといいます。
銀時計と外套を質入れ(父母には盗まれたと申告)して、5円の尺八を購入。
神保町の古本屋で買い求めた稽古本で独習を始め、師匠について稽古もしたようです。

「楽器は恋人の絵姿にも等しい。黙っていても絵姿はこがれるものの心を慰める。
よしや弾かなくとも、弾き得ずとも、また弾く人がゐないにしても、
楽器ある家は何となくなつかしい」
(永井荷風『楽器』より)
と、のちに書いているのも興味深いところ。

尺八はリードのない、無簧(むこう)楽器、エアリード楽器であり
上部の歌口に息を吹きつけ、管内の空気流の振動によって音を出します。
単に音を出すだけでも熟練を要する構造ではありますが、
奏者の演奏技術や表現力によって、その音量や音色の幅は広がるのです


さて、この尺八と同様の原理で音を出す縦笛は、
世界を見渡してみると、古くから多種多様に存在しています。

例えば南米のケーナ(quena)。日本でもよく知られるアンデスの民謡
「コンドルは飛んでいく」の演奏で、その音を耳にした方も多いでしょう。
もともとは葦製で4~5孔だったようですが、現在は竹製の7孔が主流とか。
歌口の部分にU字・V字型の切り込みがあり、尺八にもよく似ています。

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Photo by gudi&cris

イランをはじめ、アラブの伝統音楽で用いられるネイ(ney)は、
ペルシャ語で葦を意味する名のとおり、葦でできた縦笛。6~8孔で、
管の端には真鍮の筒がはめられており、斜めに構えて息を吹き込みます。

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Ney, Photo by captain.orange

そして中国の洞簫(どうしょう、dong xiao)は、尺八の祖先とも言われます。
尺八より細長い竹の管で、音孔が6つあり、歌口は管の内側が削られている、
といったところが違いとして挙げられるでしょうか。

一説によれば、西アジアの葦製のネイが漢時代に中国に入り、
竹製となって洞簫と名付けられて広まったのちに
改良されて1尺8寸管となった(尺八と称されるようになった)とか。

ただし1999年、中国河南省にある新石器時代初期の遺跡から
9000~7700年前の縦笛(タンチョウヅルの骨製)が見つかっており、
中国における縦笛の歴史の長さがうかがえます……


次回は「尺八の進化と国際化」についてお届けしましょう


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2012/10/04(Thu)

インド、人々と神々を結ぶ踊り

以前、tabi tabi on tourでもご紹介しましたが、
レセプションでインドの古典舞踊を見る機会がありました。
(動画はこちらをご覧ください)

実はこの時、スタッフ は衝撃を受けたのです。
「高校時代に体育で習ったインド舞踊と、全く違う……

そう、インドには数多くの古典舞踊が存在するのです。
なかでも、
バラタナティヤム(南インド、タミル地方の巫女により伝承されてきた舞踊)
カタカリ(南インド、ケララ地方の舞踊劇で、世界三大化粧劇のひとつ)
カタック(北インド、神話や英雄物語の語り聞かせが起源とされる)
マニプリ(北東インド、マニプル地方に伝わる民族舞踊)
の4つがインド四大舞踊と呼ばれています。

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Bharatanatyam, Photo by dalbera

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Kathakali, Photo by spisharam

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Manipuri, Photo by Arian Zwegers

最も古いバラタナティヤムで3000年以上の伝統をもち、
カタックはイスラムの、マニプリはモンゴリアンの影響を強く受けているそうで、
地域による歴史の違いを感じさせられます。
インドといって、ひと括りにしてはいけません


さて、スタッフが過去に踊ったのはバラタナティヤムであったようですが、
先日のレセプションで披露されたのはカタックです。
約2500年前、カタカと呼ばれる語り部たちが、
ヒンズー教の神々や英雄の物語 を寺院で語り伝えたことが起源とされます。
次第に歌や踊りが加わり、イスラム王朝内で宮廷舞踊として発展。
フラメンコの源流ともいわれます。

他のインド古典舞踊が中腰で立つのに対し、直立の姿勢を取るのがカタックの特徴。
印象に残るのは、足首につけた鈴(片足に100~200個)の音、
高速で複雑なフットワーク、そして多用される旋回でしょう。

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Kathak, Photo by dalbera

スタッフは旋回の早さにも衝撃を受けました。
「今まで親しんできたダンスでは、こんなに早く回れない……

ポイントは、主に西洋のダンスで旋回の際に使われるつま先ではなく、
かかとで回ることでした。
回る方向でエネルギーの流れなどを表現するそうで、基本的には左回り。
旋回だけでなく、目の動きや手の動きにも意味が込められていて、
舞踊がそもそも舞台芸術ではなく、神に奉納されるものであった、
ということを改めて考えさせられます。


バラタナティヤムやカタックが、寺院や宮廷の外に出て
一般の人々の前で披露されるようになったのは、20世紀以降のことといいます。
民族舞踊を舞台芸術として確立し、存続させていく。
何もインドに限ったことではありません……。
文化や歴史にふれる機会として、私たちも大切にしていきたいものです


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2012/09/19(Wed)

篳篥―鵜殿のヨシの音色

雅楽を耳にして、篳篥(ひちりき)の音量に驚いたことはありませんか

篳篥は竹製の本管と廬舌(ろぜつ、リード)から成り、長さは約18cm。
リード楽器であるが故、でしょうか、
ボディサイズからは想像できないほど大きな音が出ます。

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写真中央が篳篥。Photo by Fett

清少納言『枕草子』には
「篳篥はいとかしがましく、秋の虫をいはば、轡虫などの心地して、
うたてけぢかく聞かまほしからず。ましてわろく吹きたるはいとにくきに……」

とあります。

音色をクツワムシにたとえるあたりは彼女の主観によりますが、
下手に吹かれると腹立たしい、というくだりは大方の認めるところでしょう。

篳篥は音程が不安定で音域が狭く、リードの調整も難しい
楽器をコントロールするには高度な技術が要求され、
それが未熟な場合には聴くに堪えない演奏となってしまうようです。

しかし、清少納言はこう続けます。

「……臨時の祭の日、まだ御前には出でで、
もののうしろに横笛をいみじう吹きたてたる、あな、おもしろ、と聞くほどに、
なからばかりよりうち添へて吹きのぼりたるこそ、ただいみじう、
うるはし髪持たらむ人も、みな立ちあがりぬべき心地すれ。」


やはり彼女も、すばらしい演奏 にぞくぞくした経験があるのですね。

同じ指遣いでも、息の吹き込み方やリードのくわえ方によって
異なる高さの音が出るため、塩梅(えんばい、こぶしのようなもの)という
奏法があるほど。歌うような、表情豊かな音が魅力なのです

雅楽では、笙(しょう)、龍笛(りゅうてき)とあわせて三管と呼ばれ、
笙は天から差し込む光、龍笛は天と地の間を行き交う龍の声、
篳篥は地にある人々の声をそれぞれ表すといいます。
篳篥は1オクターブ少しと音域が狭いものの、音量が大きいため、
合奏では主に主旋律を担当しています。


さて、雅楽には欠かせないこの音色が、変わってしまうとしたら

篳篥の本管は竹製 ですが、リードはヨシでできています。
淀川河川敷にある鵜殿(うどの)のヨシは、サイズや質がリードに最適で
平安時代から使われていたとか。現在も、宮内庁楽部に納められています。
しかし、この広さ約75haのヨシ原が絶滅の危機にあるそうです。
原因は、ヨシ原を横断する新名神高速道路・八幡~高槻間の工事。
この事実を知っている人が、一体どれくらいいるのでしょう。

雅楽そのものは、民間への普及が進んで裾野が広がっているものの、
高度な技術の継承は難しくなっていると聞きます。
長い年月をかけて発展してきた民族音楽 そのものはもちろんですが、
楽器の素材にせよ、その制作技術にせよ
知らないうちに失われていた、ということのないようにしたいものです。


「SAVE THE 鵜殿ヨシ原~雅楽を未来へつなぐ~」プロジェクトでは、
新名神高速道路の建設計画見直しを求める請願署名を行っています。
ぜひ、ご参加ください

また、鵜殿ヨシ原研究所では、ヨシ原の観察会を実施しています。


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2011/12/22(Thu)

日本の音

馬頭琴の音色をお聴きになったことはありますか

馬頭琴は、モンゴルではモリンホールといいます。
モンゴル民話『スーホの白い馬』でおなじみの楽器ですが、
スタッフ がはじめて耳にしたのは昨年のこと。
itn Open!”No.4にご登場いただいた
馬頭琴奏者・ブルグットさんによる演奏でした。

馬頭琴は、バイオリンやチェロ、二胡などと同様に
弦をこすって音を出す、擦弦楽器です。
が、音はやはりはじめて耳にするものであり、
これがモンゴルの音か、草原に響く音なのだ! と感動したものです。

ブルグットさんは
「馬に乗って生活する人の音楽が、モンゴル民族の音楽、そういうことですよ」
とおっしゃっています。
itn Open!”No.4には、アジア・アフリカ民族音楽研究会主宰である
竹村天祥氏との対談を掲載していますが、そのなかで
民族音楽の根本は祭りと食べ物である、という話もされていました。

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楽器も音楽も、その土地に合ったものが生まれ、発展し、伝承されていく。

では、私たち日本人が思い浮かべる日本の音とは

年に一度のお祭りで聞くお囃子でしょうか。
元旦に神社で奉納される雅楽でしょうか。


先週、AUN J クラシックオーケストラという
和楽器奏者のグループのコンサートに行ってきました。
和太鼓、笛、三味線、尺八、鳴り物、箏……。
これらの和楽器の音を聴き、響きを感じる機会が、
ピアノやギター、トランペット、ドラムなどと比べても
あまりに少ないように感じます。

世界中の人たちに和楽器のすばらしさを知ってもらいたい、
と活動を続ける彼らに、感謝せずにはいられません。
そしてエールを送ります。


これからも“itn Open!”では、
世界の民族音楽を紹介していきたいと思います!

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Photo by deflam


itn Open!”の開設趣意より抜粋

このネットワークは自然、歴史、文化、産業など各国各地の特質を尊重し、
異なる国籍・言語をもつ参画メンバーたちの
さまざまな交流・観光事業を通じて
国際社会に貢献します。




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